例のエレベーターで5階に戻ると、エレベーター・ホールは帰る時よりも暗く、シャッターが降りた店だった。
アレっ・・・・ 階を間違えたか?上の階に階段で上がる、この階は、そもそも飲食店ではなかった。2つ階を降りる、飲食店が2軒ほど営業してたが、ぜんぜん、違う店だ わ・・・・。アルコールのせいか、軽いめまいがして来た。気を取り直して、5階に戻る、絶対この階なんだが・・・・。僕が出た後、急いでシャッターを降ろ したのか?でもない、もう1人、客が居たはずだし、今は、このフロアからは人の気配も感じられない。
なんだか、キツネに抓まれたような・・・・。足元を見ると、どこかの壁から剥がれたらしい、空き店舗 ・ 管理会社のTELが書いてある薄いプラスチックの板が落ちていた。
終電の時間が迫ってきてるし、それを逃すと、昔みたいに、朝まで彷徨うことになってしまう。
駅に向かう途中で、ビルを見上げた、カーテンの隙間から、非常灯の緑色した暗い光が漏れているだけだった。
東京行きの終電にギリギリ間に合う。混んでは居なかったが、季節はずれの暖房が入っているのか、少し蒸し暑く感じられた。
南側の席を選んで座って、海沿いのパイパスの薄オレンジ色の照明、遮られては消えて、また現れる灯火をぼんやり眺めながら、家に帰ってからの言い訳と今日の出来事を交互に考えた。
今日みたいな日は、二度と来ない。意識するか、しないかの違いだけで、普段の変わり映えしない日々だって二度と来ない。今日、偶然?会うことが出来た人たちには、もう、会うことはないだろう。それにも、気が付いてはいたが・・・・。
でも、いつかまた、あの頃のあの街に戻れそうな気もしてる。帰りがけに見掛けた白髪の男は、何年後?十何年後?何十年後かの僕自身だったような・・・・。
いくつかの駅を過ぎた頃から窓ガラスに雨が細く流れ出して来た。
止んでいた雨がまた降り出したようだ。
2 件のコメント:
ライターどこにいっちゃったんだろね^^
言い訳をしてる主様が思い浮かんでしまいました^^;
懐かしくも不思議な匂いのするお話でした。
言い訳って・・・・w
それは まぁ どうでもいいけど
海硝子さんが住んでいる街のことを書いたけどね
本当のことだから 仕方が無い
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